
今回は、国語6ヶ月目の内容である
「内政ファシリテーション」 について解説していきます。
前回(5ヶ月目)では、自己対話が
- 現象
- 感情
- 価値観
- 快/不快
- 望み
といった、複数の層(レイヤー) で起きていることを整理しました。
自己対話といっても、
どの層の声が大きくなりやすいかは人それぞれで、
その「音量バランス」によって、
変化につながりやすい人と、そうでない人がいる、という話でした。
6ヶ月目では、
この層構造を 前提として固定 したうえで、
別の角度から自己対話を見ていきます。
自己対話は「私」一人の声ではない
私たちは普段、
自己対話を自然に「私の声」として扱っています。
- 私はこう思う。
- 私はこう判断する。
- 私はこうしたい。
けれど実際には、内側で起きている判断は、それほど単純ではありません。
仕事では冷静に判断できるのに、恋愛になると極端な選択をしてしまう。
普段はとても穏やかな人が、ある状況では別人のような反応をする。
こうした現象は、
「一貫性がない」
「ブレている」
と評価されがちです。
しかし、国語6ヶ月目では、
この現象を別の前提で捉えます。
仮定:自分の中には複数の「判断主体」がいる

ここで採用する仮定は、次のものです。
自分の中には、複数の判断基準を持つ「判断主体」が同時に存在している。
そして普段は、
それらをまとめて
便宜的に「私」と呼んでいる。
この仮定に立つと、
判断の揺れや矛盾は、
「欠陥」や「未熟さ」ではなくなります。
単に、
場面ごとに前に出ている判断主体が違う
というだけのことになります。
「本来の私」が見つからない理由
ここで、
多くの人が無意識に持っている前提について
一度整理しておきます。
- 「本来の私とは何か」
- 「本当の私はどんな人なのか」
- 「自分らしさが分からない」
こうした問いの多くは、
次のような前提の上に成り立っています。
本来の私は、どの角度から切ってもいつも同じ判断をする一貫した存在であるはずだ。
つまり「確固たる私」というものが存在する、という世界観で自分のことを考えています。
この前提に立つと、
人は必ず行き詰まります。
なぜなら、
現実の人間の判断は、
状況・関係性・人生のフェーズによって
大きく変わるからです。
「どの切り口から見ても同じ力が出る私」
を想定すればするほど、
現実の自分は
「どれにも当てはまらない存在」
になってしまいます。
「私」とは集合体である
ここで、
「私」という存在を
別のイメージで捉えてみます。
たとえば、
チーム制のスポーツを思い浮かべてください。
野球なら9人で1チーム。
サッカーなら11人で1チーム。
チームとしては
「1チーム」ですが、
その中には、
それぞれ役割も判断基準も違う
複数のプレイヤーがいます。
人の内側も、
これに近い構造をしています。
自分の中には、
役割や優先基準の違う
複数の「人格」とも言える存在がいて、
- ジャンル
- 状況
- そのときの余裕
- 人生のフェーズ
によって、
前に出てくるプレイヤーが変わる。
そして、
その 全体の集合体 を
私たちは「私」と呼んでいる。
これは
「感情がたくさんある」という話ではありません。
そもそも、判断の主体そのものが複数存在している
という前提です。
国語6ヶ月目②:自分の中にいる「構成員」たち
1本目では、
「私」は単一ではなく、
複数の判断主体の集合体として捉える、
という前提を確認しました。
2本目では、
その判断主体を
もう少し具体的に捉える ための視点を扱います。
6ヶ月目では、
内側の判断主体を次のように表現します。
「◯◯を大事にする私」
これは性格分類ではありません。
判断のときに、何を優先しているかを見るための言い方です。
「私」は一人の選手ではなく、チームである
第一章で、自分という存在をチームスポーツに例えて解説しましたが、たとえばサッカーなら、11人で1チーム。
日本代表という「1チーム」はありますが、
その中には、
- ゴールキーパー
- ディフェンダー
- ミッドフィルダー
- フォワード
と、役割が異なるポジションの人がいて、それぞれのポジションで「大事にするべきこと」が違います。
フォワードなら何より 「ゴールを決める」ことが至上命題だろうし、ディフェンダーなら「相手からの攻撃を防いでカウンターに回す」ことが最重要です。
ゴールキーパーなら守って守って守り抜くことが大事で、ゴールキーパー自ら点を取りに行くことは基本的にありません。
人の内側も、これとよく似ています。
私たちは「私」という1チームとして生きていますが、
その内側には、
役割や優先基準の違う構成員が複数います。
この前提で自分の内面を観察してみると、そもそも「確固たる唯一の本来の私」を探すこと自体がずれていることに気がつけると思います。
例として、こんな「構成員」を想定してみる
では、サッカーでいうポジションのように、私たちの内面には、どんな判断基準を持った人格があるのでしょうか。
あくまで例ですが、
次のような判断主体が考えられます。
- 感情を大事にする私
心地よさ、好き嫌いを基準にする - 世間体を大事にする私
どう見られるか、評価されるかを優先する - 他者を大事にする私
相手の気持ちや立場を考えようとする - 理想の私像を大事にする私
「こう在りたい自分」に近づくかで判断する - 他人から見た理想像を大事にする私
期待や役割を守ろうとする - 成果や勝敗を大事にする私
結果が出るかどうかを基準にする - 安全や安定を大事にする私
失敗やリスクを避けることを優先する
↑
これが全部というわけではなく、こういう役割の選手が自分のチームにもいそうかどうかを考えるための例です。
もっと細かく分けようと思えば、いくらでも細かい分類ができます。
例えば「他者の気持ちを大事にする私」といっても
- 他者の“気持ち”を大事にする私
- 他者の“長期的成長”を大事にする私
- 他者の“経済的メリット”を大事にする私
- 他者の“世間体”を大事にする私
というように、他者の○○を大事にする私、みたいなシリーズで構成員はいくらでも増やせます。
なのでここで出したのは、あくまでサンプルです。
ジャンルが変われば、出場選手も変わる
もう一つ重要なのは、
ジャンルによる違いです。
仕事、恋愛、家族、お金、人間関係。
これらの場面で、
前に出てくる構成員が
常に同じとは限りません。
仕事では冷静なのに、
恋愛になると極端な判断をする。
距離がある人の前では理性的なのに
家族の前では感情のままに振る舞う。
このような感じで、ジャンルやシチュエーションによって人格が変わることは、誰にでもあると思います。
これは人格の問題ではなく
ジャンルごとに出場している選手のポジションが違う
というイメージで考えてみてください。
例えば恋愛関係はフォワード多めの構成だけど、家族関係ではディフェンダーメインの構成になる、といった感じです。
次の章でやること
次の章では、
この前提を使って、
自分の場合、どのジャンルで、どの構成員が前に出やすいか
を実際に並べていきます。
国語6ヶ月目③ジャンル別・内政ファシリテーション
3本目では、
これまでに積み上げてきた前提と素材を使って、
自分の内側が、実際にどう運営されているのかを整理します。
ここで行うのは、
分析でも、修正でも、理想化でもありません。
行うのは、
可視化
です。
内政ファシリテーションとは何か
内政ファシリテーションとは、
自分の内側に複数の判断主体がいるという前提に立ち、
どの場面で、どの判断基準を持つ「私」が意思決定への影響力を持っているかを整理すること
を指します。
誰かの声を消す作業ではありません。
どれが正しいかを決める作業でもありません。
今の自分の内側では、
誰の判断が通りやすい状態なのか
を、そのまま把握するための視点です。
ワーク:ジャンル別に内政を配置してみる

次のようなジャンルを思い浮かべてみてください。
- 仕事
- 恋愛
- お金
- 家族
- 人間関係
それぞれについて、次の点を書き出します。
- そのジャンルで、
よく発言していそうな「私」は誰か - 実際の選択において、
決定権を持っていそうなのは誰か - ほとんど前に出てきていない「私」はいるか
判断や評価は入れません。
ただ、配置を見るだけです。
具体例:恋愛ジャンルで見てみる

たとえば、恋愛というジャンルで、
- 自分が好きか嫌いか
- 一緒にいて心地いいかどうか
を最も重視して選択している場合、
その領域では
**「感情を大事にする私」**が
強い発言権を持っていると考えられます。
この場合、恋愛の内政は、
感情基準を優先する構成員が
多く前に出ているチーム編成になっている、
というイメージです。
一方で、恋愛において、
- この人と付き合ったら、周囲からどう見られるか
- 評価や立場に影響が出ないか
といった点を最優先して判断している場合、
その領域では
**「他者からの見られ方を大事にする私」**が
最も強い影響力を持っている可能性があります。
ここで見ているのは、
どの判断が正しいかではありません。
恋愛というジャンルで、どの判断基準を持つ私が意思決定に最も影響しているか
を可視化することです。
6ヶ月目では、
「こうした方がいい」
「この判断基準は減らすべき」
といった結論は出しません。
それは、後期で扱います。
今月の役割は、
現状を正確に把握すること。
内側がどうなっているかを知らないまま、
選択や設計の話はできないからです。
今月のゴール
国語6ヶ月目のゴールは、次の一点です。
私は、
どの場面で、
どんな判断基準に
意思決定を任せているのかを
把握している
これができて初めて、
次のフェーズで
選択や現実設計の話が可能になります。
コメントを残す